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物流倉庫の自動化設備運用におけるロケーション改善のコツ
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物流倉庫では、ロケーション管理およびその改善により効率化が図られています。自動化設備で商品を扱うケースにおいても、生産性を向上するうえで欠かせません。
一方で自動化設備導入時に商品を格納したまま、ロケーションの適正化に気を配らずに運用している場合、気付かぬ間に生産性が低下しているかもしれません。
本記事では自動化設備の運用におけるロケーション変更の必要性と改善のコツを紹介します。ポイントを押さえて、パフォーマンスを高めていきましょう。
目次
自動化設備の運用におけるロケーション改善の必要性
自動化設備を導入する際には、生産性の目標値を設定します。その生産性を実現するためには、ロケーションの改善が必要です。ロケーションが適正化されていない場合、次のような問題が起こりやすくなります。
・自動化設備の稼働率低下
・自動化設備エリアで商品の渋滞
これらの原因で当初想定していた生産性に到達しない場合、投資に対する回収期間が長期化してしまいます。
また状況が悪化すれば、出荷が遅延するリスクもあるでしょう。万が一、出荷の遅延が発生しても、自動化設備エリアで保管している商品はピッキングの応援要請ができません。人海戦術のような状況に応じたリカバリーがしづらい特徴があるのです。
つまり自動化設備エリアでは、人が作業するエリアよりロケーションを改善する必要性が高くなるといえます。
自動化設備の運用におけるロケーション改善のコツ
人が作業する現場と同様に、自動化設備で運用する現場においても「作業効率」と「保管効率」を高めるためにロケーションの改善を行います。
人が作業するエリアと改善のコツに大きな違いはありません。ただし人が作業するエリアとの違いとして、以下2つのパターンがあります。
・自動化設備エリアと人が作業するエリア間のロケーション改善
・自動化設備エリア内のロケーション改善
それぞれチェックしてみましょう。
自動化設備エリアと人が作業するエリア間のロケーション改善
自動化設備エリアと人が作業するエリア間のロケーション改善では、作業効率を高める目的があります。
そもそも自動化設備エリアで保管するのに適している商品は、出荷頻度が「中頻度」の商品です。出荷頻度が「高頻度」「低頻度」の商品は、自動化設備の渋滞や稼働率低下を招くため、人が作業するエリアによる保管が適しています。
商品の改廃や季節の影響による需要変動を考慮して、自動化設備エリアに保管すべきか、人が作業するエリアに保管すべきかを定期的に見直しましょう。もしくは毎日の出荷状況から気になる商品の売れ行きをデータを抽出し、確認してみるのもよいでしょう。
自動化設備エリアで保管するアイテムの決め方は次の記事で解説しています。
自動化設備エリア内のロケーション改善
自動化設備エリア内のロケーション改善も必要です。商品の売れ行きが変化し、保管数量が変化した商品をチェックしましょう。
固定ロケーションを採用している場合は、基本的に同一商品(1SKU)を1つの間口で保管します。そのため、在庫が増加すれば大きな間口に、減少すれば小さな間口に調整が必要です。売れ行きがよい商品ほど、在庫量は増える傾向にあります。適切な大きさの間口を利用することにより、保管効率を向上しましょう。
フリーロケーションを採用している場合は、同一商品であっても複数ロケーションに分かれている可能性があります。1件の出荷に対して複数個の注文がある場合に、自動化設備が何度も商品を取りにいかなければならないケースが発生するでしょう。ロケーションが分散しすぎないように、在庫を集約すれば作業効率が上がります。
自動化設備エリアにおいてロケーションの管理方法を決める工程も重要です。固定ロケーション、フリーロケーションに適した商品の特徴を次の記事で解説しています。
自動化設備エリアでロケーション変更を効率的に行うには
自動化設備エリアでロケーション変更やその他イレギュラー業務を効率的に行うために、ステーション数に余力を設けることを推奨しています。ステーションとは、自動倉庫や棚搬送AGVが棚やコンテナを運んでくる場所です。ピッキングをする作業者はステーションで待機して、作業します。
一般的にステーションの数は、1日あたりの入出庫量に応じて決定します。しかしステーション数に余力がなければ、スタッフの勤務時間はほぼ入出庫対応でステーションが埋まっている状況になりかねません。
例えばよくある現場の流れとして、前日に受信した出荷オーダーのピッキングを朝一から始めて、順次夕方まで荷揃えをします。同時に入荷は午前中の荷受け、仕分けから始まり午後一から棚入れをするとしましょう。1日中作業する現場であれば、ステーションが空く時間はほとんどありません。
人が作業するエリアでは、ピッキングや棚入れと並行してイレギュラー業務への対応も可能です。ロケーション変更以外にも、「対象ロットの商品をすべて確認したい」「現品で数量確認をしたい」といった急なイレギュラー業務も発生するでしょう。
しかし自動化設備エリアのステーション数に余力がない場合、入出庫作業を一旦止めてイレギュラー業務に対応する必要が生じます。入出庫の遅延にもつながる事象です。ロケーション変更のように緊急でなければ、時間外で対応するケースも考えられるでしょう。無駄が生まれてしまいます。
こうしたケースを想定し、イレギュラー業務に対応できるステーションを1個以上設けることで柔軟な対応が可能となります。
ロケーション改善で物流倉庫の運用を効率化しよう!
物流倉庫の運用にロケーションの改善は必須です。自動化設備を導入する場合にも同様であり、入出荷のスピードに及ぼす影響を考慮すれば、ロケーション改善の必要性は高くなると考えてもよいでしょう。
自動化設備エリア内でのロケーション改善のコツも、人が作業するエリアとほぼ同様です。ただしそれに加えて、自動化設備エリアと人が作業するエリア間でのロケーション改善が必要になります。商品の需要に応じた定期的な見直しにより、生産性が高い状態を維持できます。
一方自動化設備エリアではステーションに空きがなければ、ロケーション変更およびイレギュラー業務が行えないため、注意が必要です。
日々の業務に追われる中で、ロケーション改善はおろそかになりやすい部分かもしれません。自動化設備の運用では、ぜひ今まで以上に心に留めて効率化を図ってみてください。
棚搬送型AGVについてはロケーション改善以外にも最適化を考えるポイントがあります。合わせてチェックしてみてください。