HOW TO
実際に導入する
マテハンメーカーとの契約時に気をつけるポイント
契約締結
複数社の提案から1社にしぼり、決裁が取れたら次は契約の締結です。契約の締結はどんなものであれ法務部を巻き込んで進めていくために時間がかかるもの。中でも自動化プロジェクトの契約書となれば金額も大きく、何か確認漏れがあったり重要な項目を入れ忘れてしまっていて後で問題となってしまっては大変です。本記事では契約を締結していくために気をつけておいたほうが良いポイントを解説していきます。
契約を取り交わすとなれば契約書のフォーマットの準備からスタートするわけですが、これはマテハンメーカーが準備してくれます。標準的なフォーマットに発注内容を反映する形で作っていくことになりますが、メーカー側は過去に何度も契約書を作成して締結しているのでまずはマテハンメーカーが作ってくれるドラフトをベースにやり取りしていく形で問題はありません。
ではそのドラフトを作ってもらう上で何を盛り込んでおいてもらうか、どういう観点で確認していくか、が重要になってくるわけですが、特に気をつけて確認しないといけないポイントについて記載していきます。
目次
料金の支払いタイミングと金額に問題はないか
発注金額の支払いについて、発注金額も大きくなり、プロジェクトスタートから稼働まで期間も長くなるため分割して支払うのが一般的です。タイミングとしてはおおよそ3回〜5回に分けられ、メーカーにより多少の差分はありますが①プロジェクト開始時(契約締結時)、②ハードウェア生産・確保完了時、③検収完了時の3回はほぼ共通しているといっても良いでしょう。その割合は、発注金額の①が10%〜20%、②が40〜50%、③が残り30%〜50%といった形で調整されることが多いため、財務・会計の部署の方と条件や金額について協議をしておくようにしましょう。
検収条件をどのように設定するか
料金の支払いにも影響してくる検収。何を持ってして「これで大丈夫です」とするかがポイントになります。これは導入する自動化設備によって多少考え方が変わってきますが、複数の設備を組み合わせ、難易度の高いエンジニアリングが必要なものである場合は提案時に想定していた機械能力値が出るかどうかを検収条件としている場合が多いです。つまり、作業スタッフの習熟度要素を除いて100の機械能力がでるはずだ、として発注したのに50しか出ない場合は検収しませんよ、ということです。もし能力がでなかった場合は検収しないだけではなく、どういう取組をするかについてもある程度両社合意の上で契約書内で条件を明記しておくほうが安心です。
一方、設備単体を組み立てて設置、あるいは完成品を配置するだけに近いような場合については通電して問題なく動くことが確認できれば完成図書や製品仕様書と合わせて納品で検収となるケースが一般的でしょう。
稼働後の保守サポートをはどう考えるか
本サイトでも繰り返し述べていますが、自動化プロジェクトの難しいところは稼働して終わりではなくそこからが始まりということで、稼働開始すれば当然ながらトラブルが発生する可能性があります。そのトラブル発生時の対応について取り決めておくのがここの項目に該当します。保守というのは大きく突発的なトラブル対応と、計画的な保全の2つに分けることができ、それぞれの考え方を整理しておく必要があります。
まず突発的なトラブル対応ですが、稼働直後はバグが残っていたり調整がしきれていなかったものなどの発生もあるためある程度安定稼働するまでは現場に常駐してもらう形で立ち上げのサポートを依頼するのが安心です。立ち上げ後一定期間の現地サポートは割と一般的ですので一度相談してみましょう。安定稼働後にも突発的なトラブルは発生してしまいます。その場合、誰に電話をすればよいのか、どれぐらいの時間で駆けつけてくれるのか、あるいはリモート対応になるのか、そのあたりの詳細なサービスレベルを決めていきましょう。
一方の計画的な保全に関しては年次点検で契約をするが一般的です。年次点検で点検する箇所と内容をすり合わせて条件を決めていきましょう。よく聞かれるのが「保守費用って一般的にどれぐらいが適正値ですか?」という質問です。これは一概には言えない部分は当然ありますが、多くの場合で発注金額の数%程度になっているようなイメージです。何をどこまで見てもらうのか、どういったスキルを持つ人がどれだけの時間を費やすのかによっても当然その費用は変わってきますし、保守部品代もそこに含まれてきますのでその積み上げ結果に妥当性があればそれが正しい金額です。あまり発注金額に占める比率で判断するのではなく、あくまでも妥当性で判断するようにしていきましょう。
結び
億を超える可能性のある契約書。不安になり慎重になるのも当然です。しかしポイントさえ押さえてしまえばリスクも低く時間もそこまでかけずに進めていくことができるのも事実です。本記事で記載している内容を参考にしていただき、契約締結を進めていってください。