HOW TO
自動化を知る
中小企業でもできる!小規模から物流の自動化を始める方法
自動化とは
大手企業が導入する物流の自動化は、最新のトレンドとしてテレビや書籍で取り上げられています。一方で中小企業が話題に取り上げられるケースはあまり例をみません。大規模な自動化では高額な投資が必要なソリューションも多いため、中小企業としては自動化設備の導入を踏みとどまってしまうケースもあるでしょう。
人手不足が進む昨今、省人化や生産性の向上への取り組みは、今後より重要になります。当記事では、中小企業でもできる小規模な自動化を解説します。はじめの一歩として取り入れやすい工程のソリューションから、具体的な自動化設備メーカーまで紹介しますので、参考になさってください。
目次
中小企業は物流を自動化する必要があるのか
そもそも必ずしも中小企業に物流の自動化が必要なわけではありません。作業スタッフが1〜2人というような、小規模な現場では投資効果が出しづらいためです。
自動化の必要性を判断するには、ひとつの工程に対する物量と作業人数に着目します。例えば、10人の作業スタッフで1時間に600個の箱を組み立てているとしましょう。1台の梱包機を投入した結果、箱を投入する作業スタッフと完成した箱を受け取る作業スタッフの2名に削減できるかもしれません。8人の人件費が削減できると考えれば、2〜3年で投資を回収できる可能性が高いでしょう。
このようにひとつの小さな工程だけでも、規模感によっては自動化の投資効果が期待できます。
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中小企業が物流を自動化しやすいソリューションの特徴
次に中小企業でも導入しやすいソリューションの特徴を紹介します。
後工程のソリューション
物流の自動化は、後工程から手がけると失敗しづらくなります。前工程から効率化した場合に、後工程の生産性が低く荷物が滞留してしまえば、全体のスループットが上がらないからです。
まずは後工程にあたる梱包の工程から小さく自動化を始めて、仕分け、ピッキング、保管と前工程に向かって自動化を拡大していくのもひとつの手です。
設備単体で使えるソリューション
システムとの連携が必ずしも必要ない工程を自動化することもおすすめです。システムとの連携が必要な自動化設備を導入するには、設備そのものの購入費用以外に、WMSなどのシステム改修費用が発生します。合算すると高額になりやすいため、設備単体で利用できるソリューションの方が費用負担が軽くすみます。
また、設備単体で利用できるソリューションは、設置すればすぐに使い始められるため、気軽に取り入れられることもメリットです。
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導入しやすい自動化ソリューション
次に導入しやすい自動化ソリューションを紹介します。自動化を始める第一歩として、梱包の工程から検討することを推奨します。具体的には、以下のような設備が挙げられます。
このなかでも、簡単に取り入れやすいのは製函機(せいかんき)です。システムとの連携が必要ないため、数百万円〜導入できます。
封緘機(ふうかんき)、包装機は、使い方によってシステム連携の有無が異なります。
オートラベラーは、ラベルに情報を印字しなければならないため、WMS(倉庫管理システム)や各運送会社の送り状印字システムなどと連携が必要です。
システム連携の有無により、費用や運用開始までのハードルに差が出ます。人が作業する場合の生産性と設備が作業する場合の生産性を比較しながら、物量も勘案のうえ、検討してみてください。
梱包工程に関する自動化設備を取り扱う企業4選
最後に梱包工程に関する自動化設備を取り扱う企業を4つ紹介します。具体的な商品も取り上げていますので、参考になさってください。
株式会社タクテック
株式会社タクテックは、ピッキングから梱包までの課題を解決する設備を販売する企業です。ブランドメッセージに「物流センターの最適解をデザインする」を掲げて、トータルソリューションを提供しています。
自動梱包と送り状貼り付け一体型システム「PaLS(Packing and Labeling System)」は、1時間に700箱程度の梱包・送り状貼り付けの自動化が可能。ポストインサイズの梱包にも対応しています。ピッキングや仕分け、検品、搬送のソリューションも取り扱っているため、事業拡大に伴う自動化の範囲拡大も検討しやすいでしょう。
ロック株式会社
創業から120年を超える歴史を持つロック株式会社は、封緘機を製造、販売する企業です。梱包資材の小型化に力を入れており、「梱包」を介して社会と環境の課題に取り組んでいます。
「ケースボーイ」と呼ばれるシンプルな封緘機や、製函から封緘まで全自動で行う「全自動製函機LAB-VT」、重量物や密閉性が必要な商品の梱包にH貼りができる「H貼り封函機LCB-H 」など、封緘機に特化した設備の取り扱いが豊富です。
大和エンジニアリング株式会社
昭和55年創業の大和エンジニアリング株式会社は、製函機、封緘機の設計、製造、販売を中心に取り扱う企業です。24時間稼働可能な、耐久性の高さを誇る設備を提供しています。
半自動や全自動の製函機、封緘機のほか、製函機、ケーサー(箱詰め自動機)、封緘機を一体化したセットアップケーサーやパレタイザーの取り扱いもあります。エンジニアリングを得意とするため、自動化したい規模によって柔軟な対応が可能です。
ストラパック株式会社
ストラパック株式会社は、梱包に関わる設備を提供する企業です。「世界中のお客様の荷造包装と物流部門で、生産性向上とコストダウンに役立ち、そこに働く人々の仕事を楽にする」を理念に掲げ、ストラパックの自動化設備は世界60カ国以上で愛用されています。
製函機、封緘機の取り扱いはもちろんのこと、PPバンドのバンド掛けができる自動梱包機、冊子などの帯掛けする帯掛機、紙の数を数える紙枚数計数機、紙やエアパッキンの緩衝材製造機なども販売しています。
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中小企業向け、補助金制度が充実している今が導入のチャンス!
2024年現在、2024年問題への対応や社会全体の賃上げ、生産性の向上を目的に物流の自動化に対する補助金制度が充実しています。
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いずれ物流の自動化を進めようと考えているのであれば、今が検討や導入を進めるよいタイミングです。ぜひ、目的の整理からはじめて、資料請求、ソリューションの比較など、はじめの一歩を踏み出してみてください。
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執筆者
田中 なお
物流ライター。青山女子短期大学を卒業後、物流会社に14年間勤務。倉庫の現場管理を伴う、事務職に従事する。その後、2022年にフリーライターとして独立し、物流やECにまつわるメディアで発信。わかりやすく「おもしろい物流」を伝える。
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監修者
西尾 浩紀
大学卒業後、ジュピターショップチャンネル、アビームコンサルティングを経て2015年モノタロウ入社。モノタロウではAGVピッキングシステムを始めマテハン設備を多数導入した国内最大規模の9万㎡の平屋建て物流センター立ち上げプロジェクトのマネージャーとして、業務プロセス設計から、総務・労務業務設計やスタッフ採用計画に至るまでの多岐に亘る業務設計をリード。センター稼働後はセンター長としてセンターマネジメントを実施。2018年株式会社CAPES設立。スタートアップから中小、大企業まで企業規模・ステージを問わず幅広く対応してきた実績を有する。特に自動化設備の導入・運用に関する豊富な知見を有し、EC物流の構築、物流センターの立ち上げ支援を得意とする。